Eli Lilly and Company(本社:米国インディアナ州インディアナポリス、以下Lilly)は、アイルランドのリムリックに構える製造拠点の拡張に10億ドルを投資し、アルツハイマー病に有望な治療薬の開発に向け、生物学的活性成分の生産を強化することを発表しました。
合わせてLillyは、アイルランドのキンセールにて8億ドルを投じた既存施設の拡張を発表しました。同施設は2023年から稼働を開始し、増大する糖尿病および肥満治療薬の需要に応えるための生産を行っています。同社は2020年以降、米国およびヨーロッパにおける製造施設の建設、拡張、買収に対し、200億ドル以上を投じてきました。アイルランド政府産業開発庁の支援を通じて行われた今回の追加投資は、同社史上最大規模の製造拡大計画の一環です。
アイルランド政府の企業・貿易・雇用大臣/下院議員であるPeter Burke氏は、次のように述べています。
「この度、Lillyによる2つの大規模な投資が発表されました。1つはリムリック・ラヒーンの施設における10億ドルの投資であり、もう1つはキンセールにある施設への8億ドル規模の投資です。これらの最先端施設は、世界中で何百万人もの人々が苦しむ病気の治療に貢献します。また、同社がアイルランドですでに雇用している数千人の従業員に加え、新たに数百人規模の雇用も創出します。今回の発表は、半世紀近くにわたりアイルランドに多大な貢献をしてきたLillyが、バイオファーマ分野におけるアイルランドの世界的なリーダーシップを高く評価し、信頼していることを示しています。同社からのアイルランドへの継続的な投資に大きな価値を感じると同時に、深く感謝しています。今後半世紀にわたるさらなる連携を、アイルランド政府産業開発庁のチームと共に楽しみにしています」
Lillyのエグゼクティブ・バイスプレジデント兼製造部門代表のEdgardo Hernandez氏は、次のように述べています。
「今回の投資により一部医薬品の生産能力が向上し、糖尿病、肥満、アルツハイマー病に苦しむ何百万人もの人々が、より健康な生活を送るための支援が可能になります。また、最先端施設は、将来の有望な新薬候補の生産にも対応できる設備が整っています」
■ アイルランド・リムリックの製造拠点について
リムリックの拠点は拡張が完了次第、グローバルな製造拠点の一部となり、アルツハイマー病治療薬やその他のバイオ医薬品に必要な生物学的活性成分を生産する予定です。
Lillyのエグゼクティブ・バイスプレジデント兼ニューロサイエンス部門代表のAnne E. White氏は、次のように述べています。
「アルツハイマー病は患者だけでなく、その家族にとっても非常に過酷な病であり、社会にも大きな影響を与えます。リムリックで生産を予定している治療薬は、初期段階のアルツハイマー病の進行を遅らせる可能性があり、世界中で何百万人もの人々の生活を改善できると期待されています」
リムリックへの総投資額は20億ドルとなり、2023年3月に発表された投資額の倍に達します。リムリックの施設では、機械学習やAI、自動ロボットシステムなどの先進技術が導入され、常に正確な業務遂行を可能にし、安全で信頼性の高い医薬品の供給を支えます。今回の拡張に伴い、Lillyはリムリックにてエンジニア、科学者、品質保証の専門家、オペレーション担当者など、高度なスキルを持つ150名を新たに雇用し、従業員数は合計で450名となる予定です。
施設の拡張は2022年に発表され、2023年3月に工事が開始されました。医薬品向け生物学的活性成分の生産は、2026年に開始される予定です。
リムリックでの投資プロジェクトは計画承認が必要であることから、Lillyは適切な時期にリムリック市郡議会に対して計画申請を提出する予定です。
アイルランド政府産業開発庁のMichael Lohan長官は次のように述べています。
「この度発表された投資は、2022年にLillyがラヒーンでの新施設建設を発表した計画をさらに上回る内容です。さらに、キンセールの製造拠点では8億ドルの投資による拡張で、施設の能力が向上し、複雑なペプチドの生産が可能になります。Lillyは1978年にアイルランドに進出して以来、世界中の深刻な病気と闘うための重要な医療品をこの地で製造してきました。アイルランド政府産業開発庁は今後もLillyとの協力関係の継続をお約束すると同時に、今回の投資がもたらす幅広い成果を心より期待しています」
■ アイルランド・キンセールの製造拠点について
Lillyは世界的に深刻な健康問題に取り組んでいます。キンセールの製造施設は、安全かつ信頼性の高い糖尿病および肥満治療薬の供給を維持するための、重要な拠点です。
施設の拡張が完了したことで、現在および将来の治療ニーズに応えるための最先端プロジェクトが実現しました。この施設では、デジタル技術を基盤としたプロセスが採用されており、連続製造技術が統合されることで、複雑なペプチドを製造するための新たな製造基盤が構築されています。
またキンセールの製造施設は、国際製薬技術協会(International Society of Pharmaceutical Engineers)による「Facility of the Year(年間優秀施設賞)」において「革新部門」を受賞しました。
Lillyがアイルランドに約50年間拠点を置き続けている理由には、アイルランドの熟練した労働力、規制環境、そして革新を推進する政策が挙げられます。コークにあるLillyのグローバル・ビジネス・ソリューションセンターでは、2019年以降、雇用が4倍に増加しており、2024年末までに従業員数が2,000人以上に達する見込みです。その半数以上が、臨床研究および開発分野で活躍しています。
■ Lillyのサステナビリティに対する取り組み
Lillyは長年にわたり、サステナビリティと地域環境の保護に取り組んでおり、アイルランドの全拠点で環境プログラムを展開しています。リムリックの施設では、従来のバイオ医薬品製造プロセスに比べ、エネルギー消費を35%、水の使用量を40%、さらに廃棄物を15%削減できる見込みです。キンセールの拠点では、アイルランド最大級を誇る26エーカーにわたる民間所有の太陽光発電所が設置されており、施設の大部分に電力を供給しています。
■ Eli Lilly and Company(Lilly)について
Lillyは 世界中の人々のより豊かな人生のため、科学に思いやりを込めて、革新的医薬品を創り出す製薬会社です。約150年にわたり、Lillyは患者さんの人生を変えるような発見や開発を続け、今日では世界中で年間5,100万人以上の人々に医薬品を提供しています。糖尿病治療における変革に加え、肥満症やアルツハイマー病への継続的な挑戦、自己免疫疾患へのソリューション提供、そして最も治療の困難ながん(癌)を共生可能な疾患に変えること。こうした世界で最も重要とも言える健康課題の解決を目指し、当社の科学者たちはバイオテクノロジー、化学、遺伝子医学を駆使して一刻も早く患者さんに医薬品をお届けできるよう、開発に取り組んでいます。この世界の多様性を反映した革新的な臨床試験や医薬品へのアクセス改善を含め、「世界中の人々のより豊かな人生への貢献」という使命を胸に、さらなる健康な世界の実現に向けて、一歩ずつ歩みを進めてまいります。詳細については、lilly.com/ie や Eli Lilly and Company UK & Ireland: Overview | LinkedInをご覧ください。
■ アイルランドにおけるLillyについて
Lillyはアイルランドで40年以上にわたり事業を展開しており、現在、3つの拠点と全国に配置された営業チームを含め、3,500人以上の従業員を雇用しています。
Lillyのアイルランドでの歴史は、1978年にキンセール近郊の土地を購入したことから始まります。キンセールの広大な製造拠点では現在、化学合成、バイオテクノロジー、ペプチド合成の3つの高度な製造技術が採用されており、Lillyが提供する医薬品の世界供給に必要な有効成分が生産されています。この施設は世界の製薬業界でも非常に珍しく、優れた施設と評価されています。2010年にコークのリトルアイランドに設立されたリリー・グローバル・ビジネス・ソリューションズ(GBS)は、当初はシェアード・サービス・プロバイダとしてスタートしましたが、現在ではグローバルなビジネスパートナーとして成長しました。臨床開発から患者支援まで、世界中の患者さんに命を救う医薬品を届けるためのプロセス全体を支える重要な役割を担っています。2022年には、リムリックのラヒーンで新たなグリーンフィールド投資を発表し、現在最先端の施設が建設中であり、2026年の製造開始を予定しています。Lilly Irelandの営業チームは、全国の医療関係者と連携し、患者さんや医療従事者のニーズを把握した上で、医薬品を基にしたヘルスケアソリューションを提供しています。
■ アイルランド政府産業開発庁 (IDA Ireland) について
アイルランド政府産業開発庁は、アイルランドの産業開発、海外からの直接投資等を推進する目的で設立された政府機関です。日本事務所では、過去40年間にわたり、欧州への進出を検討されている日本企業向けに、立地や人材、税制、優遇措置など各種最新情報の提供のほか、現地視察、進出計画の立案から進出後のサポートまで幅広い支援を行っています。
過去のプレスリリースは、https://www.idaireland.jp/newsroom/ をご覧ください。